勲章と澄んだ空
夫が老眼鏡を掛けたとき、うっすらと私の首にメダルが掛かった。不思議な感覚。青年が歳を重ねるにつれ老い衰えていく様を、すぐそばで日々見ているとそう顕著に変化は感じ取れないもの。長年連れ添ったその抽象的距離感を記すかの如き老眼鏡。ようやくここまで歩いたんだと空を見上げる心地。
私は歳を取らないとよく言われる。老いのマークが無いので夫はまだ空を見上げていまい。いやマークはあっても見過ごすだろう。若さの秘訣は眠ること。眠ることは死の練習、シミュレーション?みたいなことを何かで読んだ。なるほど。眠るのが好きだ。甘き死よ来たれ。